無名音楽家アブロニカの戦慄なリアルと最前線

ヒップホップ・ポストロック・エレクトロニカを主軸にしたラッパー&トラックメーカー、アブロニカのこれからを赤裸々に書き綴り。 日本中の90%を占める底辺音楽家のリアルと実情、日々思うことを書き殴ります。まれにDISリスペクトな記事あり。 無料の楽曲DLが受け取れるフリクルメルマガ配信中 http://frekul.com/artists/profile/call-it-anything

カテゴリ: 一押し音楽

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吉田一郎が加入してもう10年たつのかと思ったら、時の流れの早さを感じざるを得ない。

この時は本当に痩せてるな…もはや別人と言ってもいいくらい。この時の彼のベースプレイは何とかバンド全体のアンサンブルについていけてるといった印象だった。とりあえず向井秀徳の指示に従う…そんな感じだというのが動画越しでも伝わってくる。

一皮むけて向井イズムの継承者へ。

そんな彼がソロアルバムをリリースしたときは驚いた。先輩である松下敦やカシオマンがやっていないことを新人である彼が成し遂げてしまったのだから。

作品の全体像としては、向井秀徳特有の「都会生活は無常である」ことを表現したあの世界観を王道的に引き継いだニュアンスが強い。サウンドもどことなく80年代のニューウェーブ的が漂うし、4以降のZazen Boysをキレイに通過した音だ。そしてどこか素朴で心地のいい懐かしさがある。デジタルに30代中盤の哀愁を表現した作品だというのが個人的な感想。


また、この作品のもう一つの魅力はベーシストらしさが良い意味でかき消えている所。一般的にボーカル以外のバンドメンバーがソロアルバムを作るとなると、どうしてもその人のメインパートが主役になりがちな作品になってしまう。

だけど吉田一郎不可触世界はベースが主役になるわけでなく、あくまで歌を中心にして作られているし実にポップス的。そこがいいじゃないっすか。

あれだけゴリゴリなベースを弾いているのにも関わらず、弾かなくてもいいという発想が出来るあたり、柔軟な姿勢でオリジナリティーとポピュラリティーを考慮して作品を作れる人なんだと思う。良い師匠に恵まれたケースだと言ってもいいでしょう。弾かないこともまた音楽ですから。


そう考えるとやっぱり人は、環境によって人生と人柄が形成されるんだなと強く感じます。もし向井秀徳と出会ってなかったら、間違いなくこの作品は生まれなかっただろう。12939dbが解散しないままだったらあのプログレチックで爽快な音楽性を貫いていただろうし…。

とは言っても向井との出会いは音楽面を聴いただけでも相当でかいのは間違いない。ちなみに向井秀徳の長所はプレイヤーの良さを見出して、そこを活かすアンサンブルにするという点。それが積み重なり、吉田一郎の遅れてきた初期衝動が詰め込まれた作品が生まれたのでしょう。

どこか懐かしいんだけど、デジタルチックな作品を酒のつまみにしてみてはいかがでしょうか?では今日はこの辺で。

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作曲をしていく上で、メロディーを作るのが苦手な人もいるかと思います。音楽の三大要素の中で一番重要なポイントを不得意とするのはある意味致命傷と言えるでしょう。そんなあなたにはゲーム音楽を聴くことをガチで薦める。

特にクロノシリーズやゼノシリーズを手掛けた光田康典の曲は他のゲーム音楽の作曲家と比べて魅力的なメロディーがある楽曲の数が半端じゃない。どうしてこんな良いメロディーを書けるのか?それが不思議でしょうがない。

もはや説明不要な名作で、リアルタイム世代でなくとも名前だけは知ってる人もいると思います。
良いメロディーというのはどこから作られるのか?

それを研究すべく、一時期はとにかくコードの進行を分析したり、コードのどの構成音を選んでメロディーが出来ているのかを調べたなぁ。

とは言っても、彼のメロディーセンスがどうやって育まれたのかは、やはり当時のゲーム制作の環境から来ているのは間違いないでしょう。

スーパーファミコンの実機で鳴らせる音の数はわずか8音。鍵盤で言えば8枚の鍵盤までしか同時に鳴らせません。

音もチープで制限がある…だったらメロディーラインに頼るしかありません。良いメロディーを書くことに全てを集中させる訳ですから自ずと、音階の並べ方のセンスが磨かれるんですよね。


やっぱりこの曲も挙げておきたい。クロノトリガーのサントラはゲーム音楽界のマスターピースともいえるぐらい素晴らしい曲群で構成されているのですが、これだけの作品を20代前半という若さで作り上げた光田康典のセンスと努力には本当に感服します。

本人曰くこの時はプレッシャーが半端ではなかった様で、寝言でもメロディーを歌っていたぐらいだという発言を昔のインタビューで目にした覚えがあります。そりゃあこんなビックタイトルを任せられたらそうなるのも分かる気がするわなそりゃ…。

という訳で光田康典氏を紹介した記事でした。ゲーム音楽は音数の少なさで勝負したいと思った時やメロディーセンスを磨きたい時には参考になる事間違いなしなジャンルです。

メロディーこそが音楽の中で最も重要な要素です。良いメロディーを作るためのヒントがこのジャンルには隠されています。光田康典の音楽を吸収して名曲作りましょう。では今日はこの辺で。

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85歳というゲーム音楽界の最年長者の作曲家であり、巨匠クラスのすぎやまこういち氏はもはや生きる伝説と化しているのは言うまでもない。

亜麻色の髪の乙女だとか、ドラクエシリーズの曲を作った人という認識が強いんだろうけど、一番の名曲はイデオンのEDテーマである「コスモスに君と」だと断言しておく。

まず、イントロがもはや理想的なんですよ。リスナーの耳を魅了するイントロというのはインパクトがあってなんだこれ?と思わせるタイプと、単純に良いメロディーを奏でている2種類に分かれるというのが自論なんですが、この曲は後者のほう。

4つ目のコードで部分的に転調しているのがミソ。ここで予想しない展開が生まれてますが、それでいてメロディーラインはなめらかに聴きやすい…。予定調和で終わらず予想を裏切りつつ、それでもいい音楽だと思わせる雰囲気がすでに10秒以内で漂わせるあたりが玄人の小技が効いてます。
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そしてAメロ。2→5→1のコード進行をベースにした切ない展開が流れていきます。なによりもメロディーラインの良さったらない。あとは歌唱を担当した戸田恵子の歌声のハマり具合も抜群。

シンガーの歌唱力が高ければ高いほど、どんなメロディーでも良くなると言っても過言ではないのですが、この曲の場合はアレンジの良さも際立って、鬼に金棒クラスで魅力的になっています。

そして後半の4小節もコード進行がひと捻り効いていて面白い。少し不協和音気味なコードを頭にもっていき、半音進行で下降していった後に、サビ前で綺麗に転調します。

これだけ2-5-1を使っていると安っぽいメロディーになってもおかしくないんですが、そういったニュアンスが全く感じないし、どこまでも切なく、そして壮大さを感じさせるんですよね~。

そしてサビはⅣ→Ⅲm→Ⅱmと来てⅠで完結するかと思いきや、Ⅴの変則コードを使って意表を突くんです。そこから半音進行で下降し、Ⅳに戻るという少し予測ができない進行に、ハァーっと思わず感心しましたね。

そしてサビ終わりの最後の小節でようやく主要となるG#に着地。綺麗なだけじゃなくて、リスナーの予想を裏切って期待に応える曲だと改めて思います。

3番までこれらの進行が続き、エンディングはイントロのメロディーを少し変えて、コード進行もイントロとは逆に上昇。Ⅱm→Ⅲm→ⅣときてⅠと来るかと思いきや、最後の最後まで捻った進行になってて、Ⅶ♭のメジャーコードを一歩手前においてからのⅠで終わりという構成になっています。

どうでしょうか?思わずダイアトニックコードや、定石なコード進行に頼ってしまう中級な作曲ユーザーからしたら参考になる要素がてんこ盛りです。

複雑な進行なんだけど、メロディーはすんなり耳に入ってくる…これが名曲であるための条件なんですよ。それをこの曲は完璧にその要素を満たしている訳です。作曲に行き詰ったら、名曲を作りたければこの曲を聴き込みましょう。では今日はこの辺で。

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どこまでもエモーショナルで弱さすらもマイクを通して吐き出していくラッパーの神門…ふと思いついて調べてみても活動が更新されていないんですよね。いまどこにいて、何をしてるんだろうか?

こういう曲を聴かされると、やっぱりヒップホップはどんなジャンルよりも一番かっこいい音楽なんだと思い知らされます。どこまでも個人的な出来事をラップしてるのに多くのリスナーの心を突き動かすリリックに力強さを感じる。

豊かさのある社会が求められている今の時代より、数年前にすでに生き辛い世の中だなとビートにのせて歌っている。

「弱音はあの晩一度だけ もう吐かない虚勢も張らない」…俺ってスゲエを連呼する虚勢にも似た表現をするラッパーが多い中、弱さを正直に表現する神門みたいなラッパーこそが本当のリアルなラッパーなんだと思う。「オッズは富 名声 幸せ BETはたった一つ人生」…ヒップホップに人生を賭けた彼の続編が、「なら、こう生きよう」だ。

就職を選ばず、ヒップホップを生業にしていく決心をした様が見てとれるこの曲はトラックの内容も合わさって前向きな姿勢を感じる。「今日出来なくて明日やれるか?現世で出来なくて来世やれるか?」はハッとさせられる文句なしの名パンチライン。morohaがリキッドでワンマンをやった様に、神門にだってそんな大舞台でライブが出来るくらいの評価はされるべき。

さらにアルバムをリリースするごとに成長を感じ取れるのが曲名でも分かる。彼の3枚目のアルバムにノルマ地獄という曲があったが、そこから数年後ギャラ天国という曲も生まれて、活動ペースは順調に上がってきているのが分かるほどだった。

ただ、2013年のライブを最後にそこからピタッと音楽活動は停止してしまった。公式サイトをチェックしてみても全く情報が更新されていない。たった一度しかない人生をヒップホップにBETしてきたラッパーはどこにいったのだろうか?

なら、こう生きようを作った人とは同一人物だとは思えないぐらい歌詞の内容が後ろ向きになっているのがタイトルだけでも分かる。

だけど曲のラスト1分半でこれはネガティブな曲ではなく、挫折をしてでも好きな事を続けていこうとする意思の表れだということが明らかになる。

こんなに完成度が高く、ありのままをただ叫んでいる様に見えて、実はとても緻密に組み込まれているラップってあるんだろうか?

トラックの内容もピアノとドラムスだけ…それでも、音数とテンポの変更でラップの内容と上手くリンクさせることで、説得力を何十倍にも膨らませていることに成功しているし、なおさら彼が評価されない理由が分からなくなる。

こんな曲を作ったぐらいだから、ラップを辞めていることはないと思いたい。だけどライブ情報も新作の情報もインタビューも何も更新されていないあたり、ことの詳細は本人にしか分からない。

今はMCバトルのシーンが盛り上がりを見せている。だけどそれがヒップホップという音楽の売上に貢献しているかと言えば、まだまだ足りないぐらい。

だからこそ、神門の様なラッパーがピックアップされ、日本のヒップホップはダサいのが多いという概念を覆してほしい。彼にならそれが出来るハズ。いずれ生で見てみたいMCですね。では、今日はこの辺で。

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黒人天才…まず名前からして面白すぎる。確かにヒップホップやブルースにジャズというブラックミュージックの生みの親は紛れもなく黒人だけどそれを自分から言うと一気にギャグになるから困る。ただ、ネーミングだけでもセンス抜群なのに悲しいかな、あまり評価されていない様である。
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ツイッターのフォロワー数も彼のキャラクター性や楽曲の面白さに反比例するかのように少ない…少なすぎるよ!楽曲はこんなに魅力的なのに…。

こんなにILLでDOPEなラッパーを俺は知らない。金玉尊敬しろとかその一文だけで日本語ラッパーはぶっ飛ぶぐらいのパンチラインなのは間違いない。

どこまでも男性上位な音楽だと解釈しているあたりにヒップホップ魂を感じる。俺も金玉を尊敬するから金玉ついてる君らも尊敬しよう。黒人天才についていけば間違いない。

そして冒頭文の内容もインパクト抜群。稚拙さが逆に評価の対象になるというあまりない例だぞこれ。なんで評価されないの?クリトリック・リスやあっこゴリラあたりと対バンしてほしいと切に願う。


日本語だとどこかぎこちなくて、英語だと抜群な発音になるという対比が繰り返される…それが最高過ぎる。あと何気に好印象なのが曲の尺が短いこと。そりゃそうだ。無名に近いラッパーの音源を4,5分聴くというのは何も知らないリスナーからすればちょっと苦痛に感じる人もいることだろう。黒人天才の良い所は手軽さがあること…これも大きい。

外国語を使ってラップする事の難しさを彼は体現している。
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彼の曲を聴けば分かると思うけど、逆に日本人が英語でラップすると外国人にはこういう風に聴こえてしまうと理解できるだろう。彼のリリックはギャグの要素があるからまだいいとして、これがZornやshing02、morohaみたいな作風でラップされても滑ってしまう。

オリンピックと同じ様に、ヒップホップやブルースといった外国発祥の音楽を日本人が普通になぞっただけでは絶対に本場の人には敵わないし、日本人から見てもただの猿真似と見られてしまう。

となると洋楽の要素を独自に解釈し、日本人の日本人による日本人のための音楽を発信することが大切になっていくのでは?と思う訳です。その成功例がLove psychedelicoやTha Blue herb、Downyだと思うんですけどね。

という訳で黒人天才の紹介記事とともに日本人が洋楽の要素を発信する上で大切な事を書き殴ってみました。いやはやそれにしても黒人天才の登場は自分にとって一つの事件。彼はもっと評価されるべきだし、テレビのバラエティー番組なんかに出演したら一気に化けると思うんですけどブレイクしないかなあ。では今日はこの辺で。

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