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まず初めに言っておきましょう。こちらの記事でも書いたように自分は生まれて3歳ぐらいの時期からずっと吃音症を患っています。吃音とはどんな言語障害なのかは簡単に言えば会話をする時やスピーチをする時に無意識にどもってしまう。または言葉を上手く発せられず無言状態になってしまうという障害の事です。日本で言えば120万人ほどがこの吃音症に悩まされているらしいです。

しかしこのオジサン…平成生まれの人は何人ぐらい知ってるだろうか?彼こそがそんな吃音というハンデを自分だけのオリジナリティーへと昇華させた偉大な吃音シンガーのスキャットマン・ジョンです。

スキャットという意味のない単語をメロディーに乗せて歌う唱法がありますが彼は自分にとって悩みのタネだった吃音症を上手く有効活用したのです。それがこの代表曲。

懐かしい人には懐かしいですよね。当時カネボウの化粧品のCMソングにこの曲が使われ大ヒット。イントロのスキャット唱法のフレーズは当時誰もが真似しようと思っても真似出来ませんでした。

彼自身は自分のスキャット唱法をテクノスキャットと名付けてましたがその名の通り機械の様に正確で声ネタをホールドした様な人間技とは思えない超速なスキャットは一気に話題となりこの曲が収録されたScatman's Worldは250万枚という驚異的なセールスを生み出しました。

52歳でデビューという異例のケースですがこのスキャットを体現出来るのは世界中で彼一人だけだったというのが年齢のハンデをモノともさせませんでした。



吃音者なら共感できる。スキャット唱法以上に注目すべきなのが歌詞!

ここからが本題です。The Scatmanの歌詞を和訳したサイトから引用します。

THE SCATMAN

I'm the Scatman
私がスキャットマンだ
I'm the Scatman
私がスキャットマンだ
Everybody stutters one way or the other
なんだって誰しもどもる事はあるんだから
So check out my message to you
私からのメッセージを聞いてほしい


As a matter of fact don't let nothin' hold you back
実際、何があってもためらっちゃいけない*1
If the Scatman can do it so can you
スキャットマンが出来るなら君にも出来るさ
Everybody's sayin' that the Scatman stutters
皆スキャットマンはどもるって言うけど
But doesn't ever stutter when he sings

歌っているときは決してどもらない


But what you don't know I'm gonna tell you right now
君の知らないことを今伝えようか
That the stutter and the scat is the same thing
どもりもスキャットも同じ事なんだ
Yo I'm the Scatman
そう、私がスキャットマンだ

Where's the Scatman ? I'm the Scatman
スキャットマンはどこだろう?私がスキャットマンなのさ

Why should we be pleasin' all the politician heathens
どうして教養無しの政治家たちを喜ばせる必要がある?
Who would try to change the seasons if they could?
たとえ季節を変える力があってもどこの政治家がやろうとする?
The state of the condition insults my intuitions
こんな状況は私の直感をいらだたせる
And it only makes me crazy and my heart like wood
そしてただ私を狂わせ、心は怒りに燃えるのだ

Everybody stutters one way or the other
なんだって誰しもどもる事はあるんだから
So check out my message to you
私からのメッセージを聞いてほしい
As a matter of fact don't let nothin' hold you back
実際、何があってもためらっちゃいけない
If the Scatman can do it brother so can you
スキャットマンが出来るなら出来るさ、兄弟


I'm the Scatman
私がスキャットマンだ

Everybody stutters one way or the other
なんだって誰しもどもる事はあるんだから
So check out my message to you
私からのメッセージを聞いてほしい
As a matter of fact don't let nothin' hold you back
実際のところ、何があってもためらっちゃいけない
If the Scatman can do it brother so can you
スキャットマンが出来るなら出来るさ、兄弟

I hear you all ask 'bout the meaning of scat
皆がスキャットの意味について聞く
Well I'm the professor and all I can tell you is
そう私は教授だ、そして言えるのはこれだけさ
While you're still sleepin' the saints are still weepin' cause
君が寝てるときでも聖者たちは嘆き悲しんでいるんだ
Things you call dead haven't yet had the chance to be born
だって君が死者と呼ぶ者たちは、まだ生の機会すら迎えてないのだから

I'm the Scatman
私がスキャットマンだ

Yeah I'm the scatman
そうさ私がスキャットマンだ
Where's the scatman?
スキャットマンはどこだろう?
I'm the Scatman....repeat after me
私がスキャットマンなのさ…続いて歌ってくれ
It's a scoobie oobie doobie scoobie doobie melody
これがスクービー・ウービー・ドゥービー・スクービー・ドゥービー・メロディだ
I'm the Scatman....sing along with me
私がスキャットマンなのさ…一緒に歌おう
It's a scoobie oobie doobie scoobie doobie melody
これがスクービー・ウービー・ドゥービー・スクービー・ドゥービー・メロディだ
I'm the Scatman....
私がスキャットマンだ…


引用元:洋楽の和訳とかワンポイント英会話とか。

分かりますかこの歌詞の素晴らしさ!!ここまでくると歌詞というより歌詩レベルなんですよ!!

正に彼にしか書けない、表現できないオリジナルに溢れた詩なんですよ。吃音という障害を背負って何十年も生きてきた人間の身体に完全に染み込んだ言葉ですから説得力が半端ではありません。リスナーの感情に染みわたるからこその詩なんです。


何より吃音を患ってもポジティブに人生を謳歌せよというメッセージ性が52歳という長い人生を歩んだ人に言われると感情が揺れ動きます。


スキャットマンが出来るなら君にも出来るさ。

皆スキャットマンはどもるって言うけれど

歌う時は決してどもらない。

これは本当にそうなんです。全てではありませんが吃音になる原因は幼少時の家庭環境や学校などで過度な緊張感や頻繁に怒鳴られることで増大したストレスのせいで発症してしまうという説があります。自分が吃音症になったのは小学生だった頃の学校の教師からの度重なる怒号の連続…本当、あの時は不運の連続でしたね…。

しかし歌ってる最中に両親や教師に怒られた事のある人はほとんどいないでしょう。だから吃音症患者は歌ったりラップすると非吃音者と同じでどもらないのです。

「何だって誰しもどもる事はあるんだから…」たったこの一文だけで包容力や優しさが込められているのがヒシヒシと伝わってきます。

説得力のある歌詞というのは無駄に長さがありません。短い一言だけで1ではなく100の内容を伝えられるのです。正に身体化された言語の集合体。悲しいことに当時の日本の時代性を振り返ってみるとこの歌詞の部分があまり注目されず、あくまでスキャットという要素=パフォーマンスのみで評価されていたといのが残念でなりませんね。

このCMも懐かしい…当時彼はメディアに引っ張りだこで様々なCMに出演していました。でもね…この人、ただのプッチンプリンなオジサンではないのだよ。自分の障害に踊らされず自ら踊ることが出来た世界クラスで貴重な人間。

しかも彼自身が受賞したゴールドディスク大賞の賞金全額を吃音者団体に全額寄付するという人間の鑑ぶりといったら…。亡くなってから17年の月日が流れましたが未だにYoutubeで彼の曲を聴く人がいるというのは文字通り記憶に残った偉大なミュージシャンだったという証ですね。本当このポジティブさは見習わなくては…。では今日はこの辺で。