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よくよく考えればこれは不思議なことなんです。コード進行という無限に近いぐらい存在するツールと歌詞の内容がかっちりハマった決まった曲はリスナーの感情に響きます。さてさて、ヒット曲や名曲といわれている楽曲には実はある法則があるんです。といってもその法則を使えばどんな曲でも名曲になるか?と言われればそうでもないんですが…。 (プロモーションが上手くはまらないと行き渡らないという理由もあるので。)




暗い歌詞にはメジャーコード主体のコード進行を使うと泣ける曲が生まれる?

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著作者:
Lulumière

音楽の授業で誰もが習ったことですが音楽には長調と短調という二種類の曲調があります。
長調(明るめな曲)・短調(暗めな曲)という風に分かれます。
実は人間というのは暗い歌詞の曲の場合、バックのサウンドのコード進行が長調である方が感情を揺さぶられるという傾向があるんです。
俗にいう泣ける曲というのはこの形式での曲が多いんです。しかも!!これは今に始まったことではなくポピュラー音楽が誕生する以前から好まれていた傾向があります。
百聞は一見に如かず。何曲か楽曲を紹介していきましょう。



70年代に大ヒットしたチューリップのサボテンの花です。この曲は恋人との別れをテーマにしています。一般的にこういった出来事は悲しかったり切ないものなのでコード進行も自然と短調になるだろうと予想できるんですが曲調は長調を主体にしています。
それがうまい具合に融合し、歌詞に説得力をもたらしています。これが仮に短調(マイナー)な曲調になっていたら救いのないただただネガティブな曲になってしまいますし、長調という選択肢を選ぶことによって丁度の具合で聴きやすくなったからこそ時代を問わず愛される名曲になったのかもしれません。



もはや説明不要の名曲。山下達郎のクリスマス・イブです。この曲も先ほどのサボテンの花とやっていることはほぼ同じです。成就しない恋愛というこれまた切ない要素がテーマになっていますが曲調はやはり長調がベースになっています。短調ではなく長調にすることで都会的でオシャレだけどどこか悲し気な雰囲気もある…というメジャーなコード進行と悲しい歌詞がミックスしたミスマッチさがこの曲を名曲たらしめています。(もちろんCM曲に採用され、プロモーションにも成功したという理由もありますが。)



まだまだあります。ミスチルのOVERです。これもテーマはやはり失恋ですが。曲調は明るめにすることでどこか癖になる切なさが感じられます。シングルではなくアルバム曲ですがこの曲のファンが多いのはこういったヒット曲に使われる定石が用いられているからというのも愛されている理由の一つだと言えます。



洋楽でもこの手法は使われています。RadioheadのNo Surprisesです。歌詞の内容は喧噪とした社会で生きていたくない。変化がなくてただただ平凡な日常を暮らしたいという現実逃避な雰囲気が漂う内容です。これも曲調を明るくすることで絶妙な儚さを演出しており曲の魅力を何倍にも膨らましています。
事実、バンドのメンバーも「歌詞の内容が暗すぎるから少し明るめなサウンドにしてみようとおもって作ったんだ」とインタビューで発言しています。この感覚は万国共通なのかもしれません。



歌がないクラシックでもこの手法は使われています。タイトルは別れの曲。暗い単語の響きですが曲はメジャー調です。映画の切ないシーンや学校の卒業証書授与などで使われる事が多いのですが他者との別れがテーマだけどどこか救われる曲調だと無意識に感じている人が多いからこそこの曲が頻繁に使われている所以なのかもしれません。



ヒップホップでも同じです。自殺や死別がテーマになっている歌詞ですがバックのピアノの音は悲し気なんだけど長調で明るい。ピアノの逆再生音もいいアクセントになってます。このテーマで短調の曲はちょっと聴くのは拒否してしまいたくなります。やはりこの組み合わせは曲作りの上で鉄板ですね。

人は音楽に救いを求める生き物。

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何故この様なネガティブな言葉と明るい音楽というミスマッチさを人は好むのか?これは自分の主観的意見になりますが、やはり人は本能的に音楽に救いや癒しを求めている生き物だからではないでしょうか?
日々の現実に押しつぶされる毎日の中で、せめて娯楽や芸術には救いがあって欲しいという無意識な欲求がどんな人間にもあるからこそこの手法が時代を問わずに用いられているんだと断言しておきましょう。
映画も同じで大半の人間は救いのないエンディングよりもハッピーエンドで終わってほしいと願うものでしょう。となると芸術分野の核となる部分は他者に対してどれだけ「楽」という感情を芽生えさせられるか?これが本質的なテーマだと言えるでしょう。こういった音楽の性質と人間の感情の関係というのは調べていくと興味深い考察が生まれます。でも今後はこういった謎は科学が解明していく時代になるかもしれません。では今日はこの辺で。