キャプチャ
85歳というゲーム音楽界の最年長者の作曲家であり、巨匠クラスのすぎやまこういち氏はもはや生きる伝説と化しているのは言うまでもない。

亜麻色の髪の乙女だとか、ドラクエシリーズの曲を作った人という認識が強いんだろうけど、一番の名曲はイデオンのEDテーマである「コスモスに君と」だと断言しておく。

まず、イントロがもはや理想的なんですよ。リスナーの耳を魅了するイントロというのはインパクトがあってなんだこれ?と思わせるタイプと、単純に良いメロディーを奏でている2種類に分かれるというのが自論なんですが、この曲は後者のほう。

4つ目のコードで部分的に転調しているのがミソ。ここで予想しない展開が生まれてますが、それでいてメロディーラインはなめらかに聴きやすい…。予定調和で終わらず予想を裏切りつつ、それでもいい音楽だと思わせる雰囲気がすでに10秒以内で漂わせるあたりが玄人の小技が効いてます。
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そしてAメロ。2→5→1のコード進行をベースにした切ない展開が流れていきます。なによりもメロディーラインの良さったらない。あとは歌唱を担当した戸田恵子の歌声のハマり具合も抜群。

シンガーの歌唱力が高ければ高いほど、どんなメロディーでも良くなると言っても過言ではないのですが、この曲の場合はアレンジの良さも際立って、鬼に金棒クラスで魅力的になっています。

そして後半の4小節もコード進行がひと捻り効いていて面白い。少し不協和音気味なコードを頭にもっていき、半音進行で下降していった後に、サビ前で綺麗に転調します。

これだけ2-5-1を使っていると安っぽいメロディーになってもおかしくないんですが、そういったニュアンスが全く感じないし、どこまでも切なく、そして壮大さを感じさせるんですよね~。

そしてサビはⅣ→Ⅲm→Ⅱmと来てⅠで完結するかと思いきや、Ⅴの変則コードを使って意表を突くんです。そこから半音進行で下降し、Ⅳに戻るという少し予測ができない進行に、ハァーっと思わず感心しましたね。

そしてサビ終わりの最後の小節でようやく主要となるG#に着地。綺麗なだけじゃなくて、リスナーの予想を裏切って期待に応える曲だと改めて思います。

3番までこれらの進行が続き、エンディングはイントロのメロディーを少し変えて、コード進行もイントロとは逆に上昇。Ⅱm→Ⅲm→ⅣときてⅠと来るかと思いきや、最後の最後まで捻った進行になってて、Ⅶ♭のメジャーコードを一歩手前においてからのⅠで終わりという構成になっています。

どうでしょうか?思わずダイアトニックコードや、定石なコード進行に頼ってしまう中級な作曲ユーザーからしたら参考になる要素がてんこ盛りです。

複雑な進行なんだけど、メロディーはすんなり耳に入ってくる…これが名曲であるための条件なんですよ。それをこの曲は完璧にその要素を満たしている訳です。作曲に行き詰ったら、名曲を作りたければこの曲を聴き込みましょう。では今日はこの辺で。