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音楽というものは不思議なもので歌が上手い人が歌った曲であれば良い曲になるというわけでもないんです。この人歌が上手い…でも何も伝わってこないと感じることはありませんか?と言っても歌は上手いにこしたことはないんですが、中にはこの歌の下手さがあるからこの楽曲は成立するというケースもあります。

20代後半から30代前半までの人にはたまらない曲ではないでしょうか?プレステ1時代の名作と言われているポポロクロイス1のエンディングテーマ「ピエトロの旅立ち」。この曲は奥山佳恵という歌手が歌っている。

少し聴いてみても分かる様に、音程が不安定だし倍音成分がある発声が出来ているかと言えばそうでもない。リズム感も少しずれている感がある。一聴してみれば下手な歌声でしかないんですが、この曲が流れた瞬間、感動してしまうんです。

この曲調で抜群に上手い人が歌ったらダメでそれではこの曲の良さが成立しないんです。なぜそんな下手な歌に人は感動するのか?これは断定的な理由は説明できないのですが、ストーリーや絵柄、世界観に合っているからではないでしょうか?

このゲームは絵本の様に子供でも楽しめるストーリーが魅力的ですが歌が下手なほどその世界観をリアルに再現している感じが伝わってきます。子供と稚拙さというのは相性がピッタリですし、歌が上手い人が歌ってしまうとそのバランスが崩れてしまう…それでは曲調にリアルなニュアンスがかき消されてしまう可能性すらあるわけです。けっして歌が下手であるということはマイナス要素があるだけではなく声質を活かす楽曲が出来れば唯一無比の歌声として成立するのです。




この曲も同じパターンだと考えられます。ナウシカという少女が主人公ですからテーマ曲を歌う人にはあどけなさや少女の様な幼さがあるとそれが+に働き楽曲全体がより引き締まります。安田成美の歌唱力も決して高いという訳ではありません。しかしこの歌声でなくてはと思わせる不思議な説得力があります。歌唱力も大事なことですがそれ以上に作品の雰囲気や世界観に合うかどうか?が一番重視すべきことだと言えるでしょう。



歌声を殺すも活かすもアレンジ次第。
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この二曲を聴いてみて下手な歌声の方がいいと思わせる理由はもう一つあります。それは楽器陣のアンサンブル、アレンジが歌声を活かしているからという点です。歌声と楽器陣のアレンジは両方とも同じぐらい重要なのは言うまでもありませんが映画やアニメの世界観に合うようなテンポとパート編成、和音進行の構成次第で歌声が魅力的になればそうでもなくなることもあります。

この二曲は歌声に関してこれ以上ないぐらい楽器隊の編成もコード進行も絶妙に合っていたからこそリスナーの心や感情を動かしたのでしょう。歌は心とはよく言ったものですがそう言わしめるためには楽器隊のアンサンブルが重要な要素になってきます。歌が下手なのであればその歌声を逆に活かす…こういった発想を用いて作曲活動に臨みたいものです。では今日はこの辺で。